無農薬栽培のおいしい煎茶をいただいてきました。煎茶飲んでます?
春分をすぎまして、これからどんどん季節が変わっていきますね。
新しい気持ちになります。
さて、コーヒー党のわたしではございますが、
お茶もよく飲みます。
昼食を食べないことはしょっちゅうありますが
コーヒーかお茶(ほうじ茶・番茶)は毎日、常に飲んでいます。
しかし、煎茶はあまり飲みません。
やや、かしこまった気持ちになるから、というのがひとつ。
美味しく淹れるには、ゆったりとした時間が大切で、
仕事中にちょいちょいと飲むものではないイメージがあるのがひとつ。
それでよいのです。煎茶は高価ですから。
もったいないような気持ちで、きちんといれて飲みたいものです。
でも、わたし、せっかくの煎茶なのに淹れ方が適当であるために(> <)
美味しさを引き出せていなかった、ということがわかりました。
気をつけることといえば、ぬるめで。
それくらい。
今回、有機栽培茶農家のお知り合いから、楽しい煎茶のレクチャーを受けてきました。
お会いしたのは、それが目的ではなかったのですが
流れでそんなチャンスをいただきました。
1.急須
煎茶を淹れるのは、小さめの急須。常滑が遠赤外線が出ているとかで好まれます。
2.湯冷まし
ぬるめの温度とは、50度くらい。だからって、ぬるく沸かすんじゃないんですよ。
ちゃんと沸かしたお湯を、冷まします。まず、ポットから湯冷ましへ。湯冷ましから人数分の茶飲み茶碗に、白湯を注ぎます。
それを急須に淹れて、お茶の葉が開くまで、手でもって静かにゆらしながら待ちますと、だいたい50度。
ゆらすといっても、揺さ振るんじゃないですよ。注ぎ口が円を描くようなイメージでゆっくりと。
3.手で急須を持つ
取手のないデザインの急須があります。お湯を入れたあとで、手で包むように急須を持つため。
そして温度を確かめます。ここで「熱!」と感じるのは、まだ温度が高いです。
そんなときは、湯冷ましから白湯を急須に注ぐときに高く(30センチくらい?)持ち上げるようにして注ぐんです。
空気に触れさせて熱の逃すかんじ。
4.ここからが先生の腕がいっそう光りました。
急須を傾けお茶を注ぐときは、こぶし二つ分くらい(?)の高さから、意外に勢いよく注ぎます。それも1秒くらい。
そして、キュッと注ぎ口を上にむけると、ピタリと流れがとまり、漏れたりしません。
わたしがやると、、、ポタポタと落ちてしまう。
迷いがあるからですね、きっと。これでいいのかな?的な。
約1秒ずつを、人数分だけ、回しいれます。お茶は減ってきます。最後のほうは雫になっていく。この雫が大事であることはよく言われます。
では、その注ぎ方は?
5.急須を傾ける角度
注ぎ口は斜め上を向いていますね。急須を傾けたとき、その口が真下を向くようにするのです。
そのとき、急須は90度以上傾いています。蓋が落ちないように、ちゃんと押さえて!
最後の一滴は、一番美味しいところ。
6.かぶせ茶と普通の煎茶の話。
かぶせ茶というのは、新芽のときに陰をつくるように網のような黒い布(たぶん言い方があるはず)をかぶせて
あえて光を遮り、新芽が成長しようとするときに出てくる「テアニン」という甘さの成分をしっかり溜めるのです。
遮りすぎたら成長が悪くなる。遮らなかったらテアニンが少なくなる。栽培家が気を使うところです。
この新芽だけから作られたのがかぶせ茶。この甘みは、温度が高い場合は カテキン(渋み)カフェイン(苦味)などが優ってしまい、
その影に隠れて感じにくくなってしまいます。50度という温度で淹れるからこそ、低音でも浸出するテアニンが引き出され、
飲んで甘みのあるお茶を淹れることができるというわけです。煎茶の中でも少し高価なのは、こんなふうに育てているから。
同時に、普通の煎茶もいただきましたが、これはこれでとっても美味しかった。かぶせ茶のように最初にしっかりとした甘みが感じられる
のとは違って、全体的に甘み、渋み、苦味がバランスよく感じられる奥深い味わいです。
7.有機栽培のお茶の安心感。
そもそも、お茶は洗いません。農薬や化学肥料を使って栽培されていても、そのままお湯を注いで飲むわけです。
こちらの農家では約20年前に、有機栽培に切り替えられました。先駆的だったと言えます。
きっかけは、農薬、化学肥料にもコストがかかること。
そして何より、撒いたあとでご主人の体調が悪くなる、ということへの気づきからでした。
ご主人とともに、有機栽培茶農家へ。
もちろん有機栽培ならではの手間がかかりますし、収量は落ちたそうです。
それまでの取引先は、有機栽培だからといって価値を高く認めてくれるわけではありませんでした。
8.ロケーションに恵まれたカフェ
時代はバブルが崩壊し、景気が下がっていく頃でした。お茶の売り上げも業界全体で下降していきます。このままではいけない。
有機農法の良さを学び、これはいいことだという確信がありました。
なんとかうまくいくようにしたい。そこで、マルシェなどへ出店してファンと出会い、自宅のとなりにおしゃれな煎茶カフェを開かれました。
マルシェを通じて出会ったお客様の一人が訪ねてこられ、「こんな素晴らしい場所で作られているんですね」と感激されます。
そこは見晴らしのいい山里で、映画のロケに出てきそうな景観なのです。
こんなに美しい場所で、農園を案内したり、お茶を飲んでいただけるような場所を作りたい。そんな思いからカフェはオープンしました。
そして、お客様の要望から、お茶だけでなくランチもできるようにと変化してきました。もちろんお茶の販売もしています。
9.煎のたつお茶
先生の、これまでのことを伺いながら、楽しく豊かな時間が流れていきます。
「もう一回淹れますか?5回まで大丈夫よ」
復習を兼ねながら、急須に繰り返しお湯を注ぎます。2煎目以降は少し高めの温度になるよう、冷まし方を調整することで、
毎回違った味わいを楽しむことができました。ここでわたしは「はてな?」と感じたのです。
自宅で淹れるときは、2煎以降はあきらかに味が落ちてしまい、それ以上は飲もうとは思いませんでした。
けれど、そのお茶はたしかに、何度も味わいを変えながら楽しめるのです。
「うちのお茶は煎がたつといわれるの」
そういうのを「煎がたつ」というそうです。たしかに。
「土がいいから」だそうです。有機栽培により、年月を重ねた茶園の土が育っているのでしょうか。
10.煎茶の時間
煎茶の歴史はそんなに古くなく、江戸時代末期からとのことでした。機械化されていない当時は、富裕な人しか飲めなかったそうです。
今だれでも手に入れられる時代になって、お茶は当たり前すぎて人々に忘れられがちになりましたけれど、
コロナのことがあって、お茶の役割も再注目されています。
わたしも、これからは煎茶の時間を設けて、手の平のうえで急須の温度を確かめながら、味わって楽しみたいと思います。
(取手つきの常滑なら、持ってますから!)
春分早々、素晴らしい1日を過ごすことができました(遊びに行ったわけじゃないんですよ。遊ぶように楽しかったけど)。
最後に、こちらのカフェのご紹介を。機会がありましたら、あなたもぜひどうぞ。お茶とランチが楽しめます。
竹西農園 遊茶庵