奈良市東部の山間地域での出会い 

2013年11月21日

前回は吉野林業とペレットは、そう簡単には結び付かない…ということを知ったわたしでしたが、
友人が住む東部山間の林業は、同じ奈良県とはいえ、少し事情が異なるようです。

「吉野以外の林業は、林業にあらず」というほど、規模が違うそうです。

まずは、自分たちが住む町に近い、身近な森である東部山間の林業や森のことについて
友人の話を聞いてみると、間伐されているのは道路際に多く、奥に入るほど放置は進んでいることや、
間伐材を運び出すための人材も人件費もないことなどが上げられていました。
間伐は危険をともなう訓練の必要な仕事です。ノコギリひとつとっても大けがのもと、倒した木の下敷きになると命に関わります。

再び奈良県のHPの内容を思いだします。

奈良県は、県土の約77%が森林で覆われ、吉野林業地域を中心とする全国有数の林業県であります。また、木材加工業についても桜井市、吉野町等に木材団地が形成されており、木質のバイオマス資源が豊富に存在しています。

「資源が豊富に存在」していることは間違いない。町でペレットストーブの需要が伸びる可能性はある(とわたしたちは見ています)。でも、それをつなぐしくみがありません。そして間伐材は放置され、山の保水力等の環境保全機能は失われていきます。と、このように書きますと、何かこう、環境保全の運動家のように見えたらいけませんね。それでは運動家の人に失礼ですね(してませんから…)。わたしは何にモチベーションを感じているのでしょう。運動がしたいのではないのです。ただ、本当に、日本の自然というのが、もともと素晴らしいもので、その恩恵の中で先祖が生きて、今わたしたちがいて、少々近代化が進んだりお金の味をしめたくらいで、そのことを忘れたり、汚したり壊したりしても平気でいるのは、どうしても「あかん、無理」という気持ちかな…。自分にできること、自分の身の丈にあうこと、楽しさや喜びをともなうことで、何か関わりたい。若い頃は、なんの繋がりもなく、何のアイデアもなく、ただ一人で「このままでは違う」と思うだけでしたが、少しずつ、出会いが生まれて、それぞれ立場が違っていても、根源的なところでは同じようなことを大切にされている方が(自分のまわりで)増えていることも嬉しく思います。その意味ではペレットに限ったことではなく、自然を踏み台にしない暮らし方や、経済のしくみについては、ずっとずっと関心を持ち続けることになるでしょう。

しばらくの後、友人を頼って地元の製材会社さんを紹介していただき、お話を伺う機会がありました。わたしは、「そんな機会があるなら連れてってください!」と頼んでついていったほうです。主体は、東部山間地域で木質ペレットをからめて新しいことを考えている法人と、製材会社との面談、といえばいいでしょうか。ペレットを作るには…という話に及びましたが、
「(地元の林業者としては)先祖から受け継いだものだから、利益にならなくてもやる気はあるが、損にしかならないとわかっていることを、残念ながらやる人はいない」とのことでした。しかし、「間伐材を運び出したら、(大きな利益にならなくとも)お金になるというしくみがあれば、状況はもっと変わるかもしれない…ということも感じました。同時に社長さんが、森の現状や、エネルギーのことについて、問題意識を持っていらっしゃるのがわかり、なにかいっしょにできることはないだろうか、と、答にならない灯のようなものを感じました。

「大手住宅メーカーは、集成材のほうを好む。寸法精度が高く、強度性能などが明確な製材品かもしれないが、木を工業製品だと思っている。」
せっかくの木をわざわざ切って接着剤で集成することを残念そうにおっしゃっていました。ホームセンターで、ときどき集成材を買いますが、反りにくいので有り難いのです。自分も、木を工業製品と見ていますね。無垢材といえば、とにかく高価なのでは?と、最初から諦めていましたが、決めつけるのはやめようかな。少なくとも、無垢材は、接着剤から気化するものを心配する必要がなく、圧着に必要な加熱エネルギーも使っていません。ペレットに、無垢材になるほどの材を使うのはやはりもったいないこと。ペレット同様、木をもっと使う方向で考えていきたいものです。(そういえば、奈良県では県産材使用住宅の新築、リフォームに助成がついてますね)

さらに後日の話。もう一度、今度はプライベートで、Mくんといっしょに訪ねてみました。何か目的があってというより、もう一度訪ねてみたい、工場を見学させてもらうだけでもいいという気持ちからです。それが、仕事の手をとめて「お茶でもどうぞ」と言っていただき、しばらくの間お話させていただくことができました。

社長さんも、あれからペレットについていろいろお調べになり、その可能性については以前よりもポジティブにお考えになっているように思いました。
問題はたくさんあります。
人材のこと。
間伐材について協力してくださる地元の人。
プラント導入の資金。
プラントが設置できたとしても騒音の問題。
ペレットストーブの普及。
ペレット流通のしくみ。
お金がまわるしくみ。

ですが、共感する人がみつかり、それぞれが役割を果たして協力すると、何か可能性が見えてくるのでは…と、今はそんな気持ちです。

木質ペレットについては、先進の事例にも学ぶところがたくさんあると思いますので、今週末から出張して、新潟県のさいかい産業さんを訪ねることになりました。今までは、情報の閲覧者でしかなかったのですが、今回は、何か具体的に関わることができそうな気がして、嬉しいです。帰ってきましたら、また報告します。

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