スイスに学べ。

2015年08月25日

残しておきたい記事をみつけました。

奈良県:林業の再生 「スイスに学べ」 高付加価値化へ

新聞記事は時間がたつと消える場合があるようなので、
全文、コピーペーストしちゃおう。出典はタイトルのリンク先、毎日新聞のサイトです。

国内林業の衰退、山地の荒廃が問題になるなか、「吉野杉」で知られる奈良県がスイスの林業をモデルにした森林管理の導入を目指している。人件費の高さなど日本と同様の課題を持つスイスは、付加価値の高い木材生産、国家資格を持つ「フォレスター」による森林管理など先進的な取り組みを進めている。県は「森の維持や人材育成といったスイスの手法を学びたい」としている。

 1960年代に100万立方メートル以上あった県内の木材生産量は、建築様式の変化、輸入材の普及などから現在は約15万立方メートルに激減。60年代に7000人を超えた林業就業者は、高齢化などから現在7分の1程度に減った。山の荒廃を防いで水源機能を維持しながら、経済活動と両立させることが喫緊の課題となっている。

 そこで県が注目したのが、高い人件費や所有者の細分化など、日本と共通する課題を多く抱えるスイスだ。県森林整備課によると、スイスではかつて針葉樹を植林して一度に伐採する「皆伐」方式を採用。80〜90年代に酸性雨や暴風雨で大きな被害が出たほか、価格変動の影響も受けやすく、大国のドイツなどに対して劣勢を強いられていた。しかし、木の種類や樹齢が多様な森林を作るなど構造改革を進めた結果、行政の補助金なしに黒字化するケースも現れた。

 6月中旬には、スイスのチューリヒ州で約900ヘクタールの森林管理を担うロルフ・シュトリッカーさんを招き、県職員や林業関係者を対象に、講演や山地での実地研修などを行った。

 スイスの林業再興に大きな役割を果たしているのが「フォレスター」制度。シュトリッカーさんもその一人で、森林所有者と契約を結び▽経営計画の立案▽伐採・製材▽材木の売却や時期の助言−−にまで携わり、黒字経営を実現している。

 シュトリッカーさんが取り組むのが、皆伐せず森の状態を保ちながら木を切る「近自然の森づくり」。同州は2004年に住民投票を行い、州内の森林管理で「近自然の森づくり」を目指すことを決めたという。

 研修でシュトリッカーさんは「他国での生産量が少なく付加価値の高い木を複数種植えて、価格変化に対応する。伐採自体が『森の手入れ』となり、多様な樹種と樹齢が交じる森にすることで災害にも強くなる」と話し、経営と環境保全が両立できることを強調。「日本の山はスイスとよく似ている」と話し、日本での可能性を指摘した。

 県は今後、スイスのフォレスター養成学校の校長を呼ぶ計画だ。県森林整備課の伊賀正彦課長は「放置された森林の保全も課題で、災害に強い多樹種の森にしたい。県民と共に森を守る方法を学び、将来は制度化したい」と話している。【矢追健介】

 森林ジャーナリスト、田中淳夫さんの話 国にも欧州の林業をモデルにする動きがあるが、大規模かつ生産効率を重視する「ドイツ型」だ。ただ、奈良・吉野の林業は量よりも高品質、高付加価値の木材生産を進めてきた。人材育成も含めてスイスに学ぶところは多い。自治体の取り組みとして画期的だ。

ここまで。

皆伐せず森の状態を保ちながら木を切るのが近自然の森づくりということになっていますね。
近自然は「自然に近づく」という意味で、生態系も含めた自然の力を支配するのではなく、利用しながら人間も自然も豐かに生きていける道を目差すものです。日本人なら、もともと持っているものと重なるところも多いと思うのですが、戦後、社会が変わってしまったために、新しい概念のようになっています。

おすすめ図書はこちら。

スイス式 森のひとの育て方 (浜田久美子著 亜紀書房)

スイスとはどんな国か(歴史、なりたち、なぜ中立国なの?など)、スイスはどのようにフォレスターを育てているか、日本での実践例のレポートなどがまとめられています。

この本の中にありますが、日本ではスイスと教育のシステムが違うこともあり、森で働く人を育てるしくみや、森で働くことの誇りの育成が不十分だということです。今までの職人さんは、あまり教えることが好きでない・・・。

記事にあるロルフさんの研修に参加した、奈良の森で働く若者からも、「何をするにも、なぜそれが必要なのかを説明してくれるので納得できた」と聞きました。

わたしは、林業関係者ではありませんが、酸素や水や防災や、安らぎと遊びの場としての森の恩恵を受けています。地元の森に感謝していますし、単純に森が好きです。市街地の住人として森とどんなふうにつきあっていきたいか、ついつい考えます。
奈良での筆頭は吉野林業ですが、森は吉野だけにあるわけではないですし、その多くはすでに「業」ではなくなっています。人が森を忘れたら、、、、恐ろしいことになりそうです。破壊されるか、放置されるか、いずれにしても最後は川でつながるわたしたちに影響があるでしょう。森と人のかかわり全体を考えても、近自然の森づくりは、多くの人に理解されてほしいことです。わたしたちも関心を寄せ続けたいと思います。