ニッポンバラタナゴ

2016年01月16日

子どものころ、魚を釣って遊んだ経験がありますか。

わたくしは、実は・・・皆無です。
つくしや花を摘んだり、人形遊びはしましたが。
やはり魚釣りは男の子の遊びなのでしょうか。

そんなわけで、近所の水辺の魚といえば
メダカやフナぐらいしか知りませんでした。
(実家が鮮魚も扱っていたので
お造りになるような魚はいろいろ知っていましたが)

夫が釣りキチガイの生き物好きですので、
最近は必然的に少し覚えました。

そんな中にニッポンバラタナゴがあります。

全国には、各都道府県別にレッドデータブックというものが
刊行されています。(環境省からのおふれらしいです)
奈良県版は、47番目、つまり最後(ちょっと残念ですね)に
奈良新聞社から発行されています。
(大切にしたい奈良県の野生生物 奈良県版レッドデータブック[普及版])

その調査の中で、日本では3ヶ所にしか残っていないと思われていた
ニッポンバラタナゴが、奈良に残っていたという事実が明らかになったそうです。

このレッドデータブックの作成にたずさわられたK先生と
お話させていただく機会がありました。

在来の生き物が絶滅するのは、なぜいけないのか。

それは、人間は必ず生態系サービス(※)の恩恵をうけているので
生態系が崩れると、必ず人間にも影響が及ぶから。

ニッポンバラタナゴが絶滅危惧種だからといって
人口的に水槽の中だけでサンプルとして生き長らえたとしても
これは生態系が残されたことにはなりませんよね。

では、ニッポンバラタナゴが生きるためには
何が必要でしょうか、というお話をうかがったので
書いてみます。

何を餌とするのか。
どのように繁殖するのか。
この二つのことを知ることで
ひとつの生き物が生きるためには
複雑に絡み合う沢山の条件が揃う必要があることが
わかります。

ニッポンバラタナゴは、貝の中に産卵するので
貝が棲息する環境が必要。
貝は植物性プランクトンを食べ、ヨシノボリという魚の
尾ひれのところに産卵するのですって。
そのヨシノボリは昆虫を食べ、昆虫は動物性プランクトンを食べています。
(全てを書いていくと、どんどん絡みが広がりそう)

こうしたニッポンバラタナゴが棲める水辺がなくなっています。
しかし、それでも
「別にわたしたちは特にそれで困ったとは感じない」
ということはありませんか?

たしかに直接に、すぐに、というわけではないのですが
それは何を表しているのでしょうね。

失った環境のかわりに、何への依存が増えたのかなあと
思います。

「小さな生き物が棲める環境が
人間にとっても都合がいい」というスタイルを
もっと見つけらないものでしょうか。
それが結局はお互いにウィンウィンになるような。
たとえばかつての日本の暮らしの中に
ヒントがたくさんあるような気がします。

※生態系サービス
人類が生態系から得ている利益。淡水・食料・燃料などの供給サービス、気候・大気成分・生物数などの調整サービス、精神的充足やレクリエーション機会の提供などの文化的サービス、酸素の生成・土壌形成・栄養や水の循環などの基盤サービスがある。生態系サービスは生物多様性によって支えられている。
(コトバンクより)

追伸
ニッポンパラタナゴやメダカは、在来種とペットショップで販売されているものでは、種類が違います。最近、ペットで飼っていたものを自然の中に放す人が増えていることも在来種にとって危機となっています。「ペットは飼いきる!」と、K先生。

そういえば、わたしはここで殺処分されるペットのことも連想してしまいます。ペットは飼いきる。そのまえに、ペットショップって、いらないと思いませんか・・・(ペットショップさん、ごめんなさい)