内田樹先生のお話を聞いたこと。
過去の記事で、
6/29 ルチャ・リブロへ。思想家の内田樹先生のお話を聞く。
と、書きました。そのことは、自分のためにも記録しておきたいのです。
ここに来れば、あのお話を再び聞けるように。
ルチャ・リブロ(「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」)は、
奈良県東南部に位置する東吉野村にある、森に囲まれてたたずむ私設図書館です。昨年の夏、オープンしました。
オープン間もないルチャ・リブロをさとびごころで紹介しました。
ここを主宰している青木夫妻は、ともに内田樹氏を師と仰ぐ関係。
この夏、開館1周年を記念して、内田先生をルチャ・リブロにお招きし、知人を集めてお話を聞く機会を作ってくれました(なんとも、贅沢なことでした)。このもようは、青木くんが毎週配信しているネットラジオ番組「オムライスラヂオ」で公開されています。
もう少し説明すると、ルチャ・リブロでは毎月「土着人類学研究会」というタイトルで、毎回ゲストを招いてお話を聞く活動をしています。(図書館に、ラジオに、土着人類学研究会、その他にも諸々、青木くんは多才です)その研究会の一環として、内田先生が登場という設定です。テーマは「とりあえず10年先の地方」。
今年間何万人という移住が起こっていると言います。若者が思うところあって、都市から地方へ移住する動きは新しいことではありません。しかし、ここにきて大きく状況が変わったことがあります。それは受け入れる側の地方が、まったなしの高齢化にさしかかったこと。消滅するのか、続くのか。選択を迫られた地方は、国の地方創生の予算を使って、若者を受け入れはじめました。わたくしの知人友人にも、地域おこし協力隊出身の人がいます。また、311以後関東から移ってきた人たちも、何人も知っています。こうした動きのむこうに見える「とりあえず10年先」とは?
やはり、そこに希望があるとすれば、土着して生きるということではないでしょうか。
今までの経済成長一辺倒の方向性とは違う生き方を選ぶ人たちが、これからますます、増えていくのでは。。。
だったら、わたくしにとっては暮らしやすいのですが、どうでしょう。
前半・後半・質疑応答の3回に分けて配信されています。
内田先生の「若者と地方」に関する著述は、普段から注目しているところですが、
この日のように、ゆっくりとお話をうかがいながら、わたしの心に残ったことは、二つ。
ひとつは、
教育のこと。子どもが成長するときは、鎧を脱いで裸になるから、その時に抱きしめるように安心させてあげること。
幾つになっても、鎧を脱いで殻をやぶる瞬間には、とても大切なことに思えました。若い人を育てるときにも、同じことがいえるのではないでしょうか。わたしもそうありたいと思います。
もうひとつは、
矛盾の肯定。「矛盾しているということ」「わからないということ」は、悪いことではないと再認識しました。ともすれば、結論を急ぎ、ひとつにまとめようとすることがありますが、必ずしもその必要はないのではないか。
迷い、悩み、決めつけられない中にあるバランスポイントを感知する態度こそが、素敵だと思えました。