これからは、都市を緑に(都市に緑を、の次)。

2020年01月22日

造園家・ランドスケープデザイナー 田瀬道夫さんの物語を読みました。

>福岡市に、まるで山のように緑に覆われたビルをデザインした人。
参照記事 こちら

>ゴバイミドリ(5×緑)というユニットを開発した人。

ゴバイミドリとは??
金網でつくったカゴと軽量土壌に多様な在来植物を植えた、都市の緑化のための里山ユニット。
販売されているのは、こちらのようです。

都市は便利だけれど自然からは離れてしまいがち。花壇や街路樹も、取ってつけた感じのものが多く、その土地の風土を表す在来種が考慮されることは少ない。
実績のあるデザイナーさんが、こんな提案をされていることに注目しています。

「都市に山をつくる」という初めての試みでしたから。最初の数年は、植えた苗木がまだ小さく、遠目にも緑が薄いので「コンクリートのピラミッド」などと批判されましたけど、21年を経てだいぶ山らしくなってきました。日本の山はもともと、人が歳月をかけて育てたもの。“天神岳”も造りっ放しではなく、「60年かけて育てる」のが、管理会社を含めて私たちの使命です。

田瀬さんの場合も、やはり、原点は幼い頃に親しんだ自然の風景。

私が生まれたのは東京の市ヶ谷。外堀のすぐそばです。信じられないかもしれませんが、私が子供の頃のお堀は水が澄んでいて、水草も繁茂していた。魚が泳ぐのがよく見えたものです。近所にはお屋敷もあり、緑もあった。小学校の途中で移り住んだ練馬にも、典型的な武蔵野の屋敷林に囲まれた田園風景がありました。ところが、1964年の東京五輪を境に開発が加速し、ビルが建ち道路が整備されるのに反比例して、周囲から緑がどんどん消えていきました。身近な美しい風景が壊され、東京がきたなくなっていくのを、ずっと目の当たりにしてきたわけで、その記憶が、環境を再生させなければ、という強い想いにつながっているのだと思います。

都市化することで、もともとあった自然が消えて無くなるのではなく
そこにあったであろう風景を作っていくことで、未来にも繋がっていくのがいい。
田瀬さんがデザインされた緑あふれる集合住宅の価値は下がらないそうです。
私は不動産の価値のことはわかりませんが、やはり、誰だって自然の豊かさを求めている証拠だと思います。

我が家のベランダの緑もまだまだ。窓の外を緑いっぱいにしてみたいのですが、ベランダですくすく育てるのはなかなか難しいものです。特に、私は下手みたいで。
それでも、いいの。ぼちぼち、やるの。何年かけても、いい。楽しみながら緑と仲良くなりたいのです。

温暖化防止のために森林の機能に期待が寄せられていますが、森林だけに押し付けるのも大変だと思います。
日本の森林には、課題もたくさん。(参考 『絶望の林業』田中淳夫著)
その間に、街で暮らす人たち(私たち)が寄ってたかって、緑の都市を作るのも、誰でも参加できるプロジェクトだと思うんです。しかも美しい。さらに気持ちいい。
ベランダ、空き地、公園、生垣、、、。そこに、もともとあったはずの自然を取り戻したり、食べられる植物を植えてエディブルガーデン化したり。。。どうでしょう?

都市が緑になる未来を夢見ています。自然たっぷりの田舎で暮らす人も、失われないよう、調和が崩れないよう、誇りをもって大切にしてください。

ちなみに

ゴバイミドリの里山ユニットを作るための苗は、山間地域で育ててもらっているそうです。このような仕事が、一つの森林業にもなるのではないでしょうか。
木を切って売るだけでなく、苗を育てて売るんです。栽培という面では農業ともクロスするし、風景を作るという面では造園ともクロスすると思います。
クロス産業としての森林業。。。。どうでしょう??