移住について、どう思いますかと聞かれたので。。

2020年06月11日

ある人から、上記のように質問されたことがありました。

その方も数年前に県外から物件を購入して転居し、自営し、地域の行事等にも積極的に参加してきた人です。
そして今では、空き家が増えている周辺の状況にも関心がある方のようにお見受けしました。
今どこの地域でも過疎化や高齢化の問題を抱えていて、
地域創世が続いていますが、実際のところ、どうなんでしょう。
移住した人と、その地域の人たちは。。。。

 

 

その時話していたことを、メモしてみたいと思います。
 

 
行政は、人口を増やしたいという思いがあると思います。
国からも言われているでしょうし、地方交付税の額も人口が係数となっていますから。
しかし、住民の方は、外から人がやってくることを喜ばしいと感じているかどうかは疑問です。
普通に考えたら、嫌なはずです。
知らない人が近くに住み始めるということは、単純に警戒心が生まれると思いますし
その感覚は、地域の平和を守るための社会的な免疫力のようなものと言えて、とても正常なことだと思うんです。
だけど、実際に「それは意地悪でしょう」としか思えない嫌がらせもあるんです。
 

 
移住してくる人の事情も様々で
勤め先が都心部にあり住まいだけを求めている人、
地域おこし協力隊としてやってきた人、
田舎暮らしがしたくて(おもに定年退職後などに)第二の人生を求めている人
起業(農業も含め)のための場所を求めてきた人、などなど、十人十色。
 

 
それによって、地域との交流を拒む人、混じる人がいるでしょう。
それぞれに、よく聞く問題があります。
 

 
拒むといっても全く拒むことは非現実的ですが
一定の距離を保ち、いわば外国人のようになって、ライフスタイルや価値観を変えない人は、
地域からの信頼は少ないかもしれませんが、トラブルも避けやすいでしょう。
ただし、孤立感はあると思います。
 

 
受け入れる地域も、本当は、後継者不足などの不安はあるのですが
ルールを守らない人ならば要らない、と思っていると思います。
ルールを理解しようとする人、地域を支える負荷をともにしてくれる人を求めているはずです。
(例えば、行事を行う際の人手。)
 

 
一方で、都会に人が集中しすぎているという意識は多くの人が持っていて
その中には、地方へ移住したい人も必ずいるし、これから少しずつ増えていくのではないかと思う。
 

 
でも、急に引っ越ししようと思わずに
興味のある地域があったら、そこで短期間でも滞在したり、頻繁に訪れたりして
その地域のことを知る時間があればと思う。
もしかしたら、「この人好きだなあ」「尊敬する、すごいなあ」と思う人との出会いがあるかもしれません。
引っ越したとき、一番大事になってくるのは、
その先で「好きだなあ」と思える人が住んでいるのかどうかということ。
人柄の点でも価値観の点でも、共感できる人です。一人でもいい。そんな人がいるか。
その人の話を聞いてアドバイスに従えば
移住生活をソフトに始めていくことができるでしょう。

移住の先輩かもしれないし、
その地域の中では柔軟な発想をされるお年寄りかもしれません。
あるいは、親切な行政マンかもしれません。
 

 
これは、通りすがりや、ふらりと観光に来ただけでは出会えない人たち。

やはり、その地に少しでも根ざしてみることで、出会えると思います。
その時の宿泊施設が必要。
だけど、高額なリゾートホテルでは、手が出ませんし
都市部と変わらないサービスを受けても地元のことは理解できません。
 

 
わたしが知っている移住者で地域に溶け込んでいる人は
「あんたのような人が他にも引っ越してきてくれたらなあ」と言われていました。

お互いに、来てよかった、来てくれてよかったと思えるツボはどこなのか
滞在したり通ったりしながら 探してみることが必要です。
あせって移住しても、一生の後悔になったら元も子もありませんから。
そして行政側は、人口を増やすことだけを目的にしないで、
その滞在をきっかけに、関係人口を作ることも大きな成果だと捉えると良いと思います。
ファンになってもらって、繰り返し訪れてもらい、地域経済の活性化に協力してくれる人に
なるかもしれないからです。
そこに、学び、癒し、楽しさ、美味しさ、発見、感動があればどうでしょう。
ゲストハウスには、地域の歴史や風土、物語がわかる読み物や
パネル、産物などの展示物を置いておきませんか。
そして、そういうことに興味を持ってくれる人にこそ、来て欲しくありませんか。

もう一つ大切なのは、やはり先ほど触れたことと重なりますが
移住してきた人と、もともとの地域の人をつなぐ翻訳者のような存在、キーパーソンが
どうしても必要です。お互いに、悪意がないのに、背景がわからないために悪く伝わることも必ずあると思うので
そこを、相手の立場から説明してあげられる人。そこから、「じゃあ、こうしていこうか」というふうに持っていける人。
「この人、好きだなあ」と思われるような人が、その翻訳者になると思います。
 

 
という話をしていたら、
「そうだ、そういう人に来て欲しい」と、そして「このあたりには空き家が多いし、それを活用してゲストハウスにしたらいいのかなあ」
とおっしゃっていました。それが答えかどうかは別としても、何かあたらしいアイデアが生まれるのかもしれませんね。
わたしは、その方が地域のキーパーソンになられたら、ちょっとモテるんじゃないか、なんて思いながら帰ってきました。