月が綺麗ですね、は通じるか。

2020年09月05日

学校では国語が得意で、漢字の書き取りはミスるも、読解のほうは
ほぼ間違えずにわかったのですが、
コミュニケーションのほうでは、文字どおり、言葉どおりに
受け止めたり言ったりすることが多かったものです。

言わないとわからないんじゃないの?と普通に思っていましたし、
どう言えば言い表すことができるのかなあということにも興味がありました。

けども、なんでも言葉にすればいいものでもないということは、後々わかっていきました。

夏目漱石さんの逸話で(都市伝説とも言われていますが)
I LOVE YOU の和訳は「月が綺麗ですね」くらいでちょうどいいとおっしゃったとか、どうだとか。

この飛躍にはびっくりしました。さすが文豪と言いますか。。。
わたしなら間違いなく、「そうですよね、綺麗ですよね」とか
「昨夜はもっと綺麗だったんですよー!」などと言いそうです。
これは、返事の意味合いとしてはどうなるのでしょうか? 
いえ、それはいいんです。
こんなふうに、全部言わないことでかえって通じる味わいはあると思います。

世阿弥も「秘すれば花なり」と言いました。

伝えるために、あえて「秘す」。高度ですが、美しいと感じます。
日常生活でこればっかりやられると、困りますけど。どっちやねん!と、なりそうで。

けれど、本当の本当の、深い気持ちを表すには、
ありきたりな言葉では陳腐になり、使えないことがありますよね。
それを、どのように表現するかというところが味わいです。
露骨であっては、かえって引いてしまったり、
言葉として正しくて、頭ではわかるけれど感動しないということもありますし。。

ところで、今お金のデジタル化が進んでいますよね。
「ペイペイ!」っていうもの便利なものですね(あの声かわいいですね)。
一説によると、将来は、現金をなくして全部デジタルで処理される世の中になるんだとか。

お金をどう使うかというのは、
別に悪いことをしているわけではなくてもプライベートな部分ですので
(会社の場合は別です)、それをインターネットで全額把握される気持ち悪さを感じます。
ですから、全部ではなくて、「ほぼ」くらいで勘弁してほしいなあと願っています。
全部があからさま、というのは落ち着きません。
どっちつかずなところがあるから、世の中が回っているじゃないですか。

仮にテジタル化したとして、たしかにお金の流通を追えば、価値観や思想まで読み取れるのかもしれませんけど
「バスで席を変わる親切」などは決してオンラインには反映されない部分ですよね。
そこに何かある、っていうのは、とても大切にしたいなあと、わたしは思います。

言語化、数値化できない部分を、表したい。受けとめたい。