体操男子団体 銀メダルおめでとうございます。

2021年07月27日

ダイジェスト版を見る、、、と書いたばかりでしたが
体操だけは、チェックしないわけにはいきません。
(夫は全く興味がないため、テレビの音を迷惑がられています)

(筆者の日本男子体操好きをお許しください)

日本代表選手一覧

内村航平(予選敗退)
亀山耕平
萱和磨
北園丈琉
谷川航
橋本大輝

体操男子団体。わずかの差でロシアに敗れ銀メダル。
ですけど、晴れやかな気持ちでした。
残念だけど、晴れやか。
ダイジェストは金メダル中心の放映になりますので、
ライブで見ておいてよかったです。

中でもびっくりしたのは、橋本大輝選手でした。
この選手、こんなに成長していたのかと。
このごろ、あまり体操をチェックしていなかったからなあ。

最後の演技。鉄棒。自分次第で金メダルかどうか、決まる。

この景色は、栄光の架け橋だ!の実況があまりにも有名な
2004年アテネオリンピックでの
冨田洋之さんを思い出します。
自分の演技にかかっている、という重圧の中で
完璧で美しい演技をこなし、ピタリと着地を決め、すっくり両手を上げて頭を上げた姿。

わたしたちの世代は、お家芸と呼ばれた体操ニッポンの記憶がうっすらあります。
中でも塚原光男選手、という名前はしっかり覚えています。
一時、その息子さんである塚原直也選手が低迷する体操界を引っ張りNHK杯といえば優勝でした。
そんな直也選手を下して日本を引っ張ったのが富田選手。

そして富田選手を下したのが内村航平選手。
2008年の北京オリンピック、初出場で個人総合銀メダル。脅威の世界デビュー。
その後、世界のレジェンドになっていく姿を見れたこと、このタイミングに自分がいられたことが
幸せでした。
2012年のロンドンでは個人総合金メダル。団体金ならず。

そして2016年のリオデジャネイロで、個人総合連覇、ついに団体でも金。
着地を決めた内村航平選手の神がった演技(団体の鉄棒は27分ごろ)。

この内村選手に勝ったのは、2019年の谷川翔選手。
今回の2021東京に出場した谷川航選手の弟くんで、二人ともアイドルのような男前です。
代表選考会で鉄棒で落下し落選した弟翔くんのぶんまで頑張った兄の谷川航選手のことも、
失敗しない男、萱和磨選手も、若き新生北園丈琉選手もすごかったのですが、
やはりこの人が次のエースだと納得したのが橋本大輝選手です。

富田選手、内村選手と同じ、最後の鉄棒演技。
日本は、2位中国をかわして、ロシアの結果次第では金メダルか?という場面。

なんということでしょう。
緊張していないはずがないのに、冷静で、のびのびと、ノーミスで演技してました。19歳ですよ。
着地は、歴代のエースのように、ピタリと決まりました。
監督もスタッフもまるで金が決まったかのように大喜び。

結果は銀だったけれど、ここまで悔いなく演技できれば
悔しさも糧になることでしょう。

わたくしが彼をエースだと思ったのはこの時だけではなく
演技後のインタビューへの返答でした。
「金になるかどうかよりも、自分の最高の演技をしようと。
仲間がすごく応援してくれている声が聞こえてきて、
それが嬉しくて、感謝の気持ちで演技できました」

19歳なんですよね。

やはり、一流の選手は、精神を「感謝」の状態に持ち込めるんだと思います。
感謝が、プレッシャーの浄化とリラックスを創り出す。

オリンピックがお金儲けに変わったのはロス五輪(1984年)からと言われています。
その頃、まだ生まれていなかった世代の選手たちは、
スポーツを通してこんなにも純粋に立派に成長しています。
感動せずにはいらせませんし、彼らと、彼らを指導された方たちに
こころからの敬意を表したいと思います。

そこには、体操ニッポンを復活させたかつての選手たちの顔ぶれがあります。

先人から次世代へ、継承される技の美しさと、こころの美しさ。
同じような感動を、柔道の試合でも感じました。
畳の上で礼をする。くだした相手の選手に敬意を表する。
勝ち負けがつくのがスポーツですが、本当の価値はその向こう側にあると
教えてくれます。だからこそ、勝負に挑むのですね。
こんな選手たちが育っていることに希望を感じます。
大人たちを浄化してくれています。

ありがとうございました。

内村選手の敗退を受けて、橋本選手のコメントがまたよくて。
泣きますよ。航平さん、あなたは、あくまでもみんなのレジェントなんですね。

「僕が鉄棒で金メダルを取って、航平さんの首にかけたい。最高に一番きれいな色を、最高に一番似合う人に。そう思っています」
https://news.goo.ne.jp/article/tokyosports/sports/tokyosports-3460842.html

追記

この後7月28日、個人総合で橋本選手は見事に金メダル。
最終種目の鉄棒までのところで3位。それでも自分らしくやれば、金はとれる。それだけの難易度の高い技と美しさを持っていました。
他の選手は、圧倒的な演技を目にして納得の表情。誰もが自分のベストを尽くしたのがわかりました。
内村さんはこの快挙を、きっと悔しく、少し寂しく、そして心から嬉しく思ったことでしょう。
内村選手に感謝します。いつもコメントが素晴らしくて、人間としても、後輩たちのお手本です。
橋本選手も、それを継承していってくれると思います。