10軒だけの、小さな地区。

2014年05月17日

吉野町の殿川地区は10軒だけの集落で、小水力発電で注目されているというので、一度行ってみたいと思っていました。先日、それがかないました。

もと集会所が防災ハウスになりました

ざっくりと、ここに書いています。

http://satobi.blog.jp/archives/1002977888.html

小水力発電は、殿川が他の集落から山一つこえた辺境の位置にあり、災害時に孤立してしまうという問題を自分たちでなんとかしようというところから始まりました。詳しくは、「季刊地域WINTER2014」にわかりやすくレポートされています。(このサイトにいっても、記事のことがふれてないので若干不安ですが、記事のコピーをいただきましたので、たしかにこの号に載っているはずなのです。)

有志によって結成された殿川小水力発電 研究会のメンバーである、会長の唯一行さん、吉村耕治さん、荒木健二さんの三人にお目にかかることができました。そして、自作の発電機のことや殿川への思いについて、ゆっくりとお話を伺いました。メンバーには竹内一さん(こちらは吉野町小水力利用推進協議会の会長)がいらっしゃいますが、この日はお会いできませんでした。竹内さんは殿川へUターンされた方、唯さんは25年前にIターンされた作曲家、荒木さんは殿川で生まれ育ち今も地区内に仕事場のある方、そして吉村さんはこの殿川にほれ込んで最近移住された方です。全員50才から60才代の(吉村さんだけはもっと若い!)、地区では「若手」。「殿川には、後がない」という覚悟に似た思いが伝わってきました。

吉村さんには、わたしが編集に関わっている俚志で、小水力発電について記事を書いていただきましたので、どこかでお見かけになったらぜひ、手にとってみてください。(俚志に協力していただける方には500円でご購入いただければ幸いです。編集局までお問い合わせください)

さて、行きは最寄り駅の近鉄大和上市駅まで迎えに来ていただくことができましたが、帰りはあえて吉野町を走る「スマイルバスに乗ってください」ということで、予約していただきました。(どうやら、予約制らしいのです)
殿川から大和上市駅までは、三茶屋で停車し、吉野北小学校での乗り換えをはさんで1時間かかる道のりでした。吉野町の、(よそゆきでない)ふだんの景色を眺めながら、バスの運転手さんとだんだん打ちとけていきました。わたしたち以外にお客さんは、途中でおばあちゃんが一人だけでしたし。

殿川にバスが乗り入れるようになったのは、実は近年のことだということを話してくれました。
「住民の方が、何度も町にお願いして、やっとバスが通るようになったんです。わたしが初めて乗り入れたとき、バス停に横断幕がかかっていて、みなさん待っていてくださったんですよね。その時は、わたし、涙でましたわ」

思わず、「あまちゃんみたいじゃないですか!」とはしゃぎました。

決して便利とは言えない路線バスです。これも、住民の方の悲願であって、努力のたまものでした。

「で、これからもわたしに運転をして欲しいと言われまして、それ以来、殿川へはずっと担当しています」

なんだか、ほろっと来るお話でした。

まだまだ知らない地元があります。機会があるごとに訪ねて、いろんな方とお友だちになりたいなと思います。殿川へも、夏の盛りにまた訪れてみたいと思っています。井戸水の味を確かめるのが、今から楽しみなのです。