地域リーグというカテゴリー
奈良クラブブログのつもりはないんですが、最近立て続けに宇都宮さんの本を読んでいるため、
ついサッカー関連のことをメモしたくなるのです。お許しください。
今読んでいるのが『股旅フットボール』
サブタイトルは 地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と陰 とあります。
初版は2008年。取材期間は2005年から2007年にかけてです。
この時期に地域リーグに属し、Jを目指していたチームを
訪ね歩いた記録。
地域リーグとは?
J1、J2を1部、2部と呼ぶなら
それにつぐJFLが3部、
その下の4部に相当するのが地域リーグです。
全国を9つの地域に分けてリーグ戦を戦い、各地域の優勝チームが
全国地域決勝リーグへ進み、全国一を競うのです。
(その上位チームが昇格。)
つまり、ヨーロッパサッカーの大好きなサッカー通の人々や
サッカーといえばテレビで報道されるJリーグしか知らない人には
まったく縁のないリーグ。
この本は、こんなふうに始まります。
今度の週末、何をして過ごそうかな?
貴方の問いに、私は応える。フットボール観戦なんてのはどうだろう、と。
…略…
すると貴方は、にわかに表情を曇らせてこう反論する。
Jリーグの試合は、こっちではやっていないよ。そもそもウチの地元には
J2のクラブさえないんだから。
…略…
ちょっと待ってくれ、私は「J」なんて一言も言っていない。
…略…
きっと地元で頑張っているクラブが見つかるはずだ。
そうそう、貴方の県にも確か、将来のJリーグ入りを目指している
地域リーグのクラブがあるじゃないか。
いやはや、奈良クラブのことですか?
2008年当時に、この本に出会っていたら
もっと面白かったかもしれません。
サポーターの先輩方はとっくにお読みのことと思います。
今ではこの本に書かれたことはずいぶん過去のこととなり
ここに登場するチームを見ると
JFLやJ2のカテゴリーで活躍しているチームがずらり。
つまり奈良クラブの未来予想図が
たくさん載っているような感覚にとらわれ、楽しくなってきます。
その中で、印象に残った文章がありました。
Jを目指すクラブにとって、地域リーグというカテゴリーは、さながら幼年期のような「夢見る時代」なのだと思う。サポーターとクラブの距離 は近いし、扱う予算もまだ億単位ではないし、選手もほとんどが地元出身で気心知れた仲間同士。サポーターも選手もフロントも、全員がお互いの顔が見える範囲で納まっている。それが地域リーグの良さであり、また愉しさでもある。
ゆえに、地域リーグから脱却し、さらに上を目指すということは、それまでの「夢見る時代」と決別し、利権と陰謀が渦巻く殺伐とした世界に向けて、勇気ある第一歩を踏み出すことを意味する。
わたしはこれまでは、サッカーというのは「J」でなければ
認められないと思っていました。
だからこそ「J」を目指すんだと。
でもこの本を読みかけてから(まだ途中ですけど)
地域リーグには地域リーグにしかない
ドラマと面白さがあるんだということを
再認識した次第です。
奈良クラブは「J」を目指しているので
宇都宮さんがおっしゃるところの
「それまでの「夢見る時代」と決別し、利権と陰謀が渦巻く殺伐とした世界に向けて、勇気ある第一歩を踏み出す」
ということになるのでしょう。
そんなに利権や陰謀が渦巻いているところなのですか? Jって?
遠い世界のことゆえ、さっぱりわかりませんが、そうなんですか????
だったら、地域リーグの夢見る時代も
いいなあ、なんて思ったりして。
「サポーターとクラブの距離 は近い」「選手もほとんどが地元出身で気心知れた仲間同士」
「サポーターも選手もフロントも、全員がお互いの顔が見える範囲」
このあたりが、奈良クラブを応援していてとても楽しい部分なのですが
これが地域リーグならではのものだということを思いだしました。
そうだった、上に行くには補強が必要で、そのためにはお金が必要で、
どんなに仲良しでも、大好きでも、戦力外になる選手が出てくるはずで、
お金が集まれば集まったで、人の欲もからんでくることになって…。それがJを目指すこということだったのかと。
そういう側面も避けては通れないということだと。
奈良クラブにはJを目指さないサッカーチーム「ソシオス」もあるんです。
ソシオスの試合も観たくなりました。
社会人としてプロを目指さないサッカー。
社会人だけどプロを目指すサッカー。
どちらも面白い。
要は、それぞれの主体者が何を目指すのか、目指さないのか、
はっきりしていることによって
そのカテゴリーならではの面白さがあるんですね。
音楽もそうだもんなあ。
プロを目指すのはしんどそうですが、このうえない感動もあります。(息子)
アマに徹するのは、ゆったりしていて、ひたすら楽しそうだし。(夫)
奈良クラブは来年、地域リーグなのかな?
そうでないのかな?
どっちに転んでも、応援のシガイがありそうです。